クリニック通信

乳児期発症のアトピー性皮膚炎、乳児湿疹の治療について

1)痒みを伴う左右対称性の発疹、丘疹、乾燥など(湿疹)が、乳児期であれば2か月以上にわたり繰り返し出現する場合、アトピー性皮膚炎と診断します。一時的な湿疹であれば乳児湿疹です。

2)湿疹に対し適切な治療を行い、可能なかぎり皮膚を健常な状態に保つことが重要です。皮膚病変が持続しバリア機能が損なわれた状態では、ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛、食品などが皮膚の真皮層にまで透過しそこでアレルギー反応が成立(感作)してしまい、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎の発症の可能性が高まります。

3)増悪因子はいくつかありますが、乾燥(秋から冬にかけて悪化)、花粉(春に悪化)の影響が大きいと考えられます。当院の外来では数人に1人程度、食物アレルギーにより湿疹が悪化する方が見られます。母乳栄養でお母様が卵、牛乳、小麦製品など(特に卵)を摂取したときお子様の皮膚の状態が悪化する場合や、ステロイド外用剤を間歇塗布に漸減しにくい場合、アレルギー検査を行い、必要な場合除去を行います。

4)皮膚を可能なかぎり健常な状態に保てば、乳児期発症のアトピー性皮膚炎は2歳までにはほとんど治っていきます。また、並存することの多い食物アレルギーも概ね3歳ころまでに治っていきます。過度な食物制限はかえって除去食品に対する過敏な状態を作り治りにくくなります。