おしらせ

小児の新型コロナウイルス感染症に関する現状(2020.6.19)

 最近、小学生以上のこどもたちで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、過剰と思われる恐怖を示す方を見かけることがあり心が痛みます。連日の報道は感染者全体および重症になった方の情報がほとんどですが、COVID-19は小児と高齢者では経過が随分異なることがわかっています。日本小児科学会から「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的見地の現状」が報告されていますので、以下に抜粋し一部コメントを追加します。

・COVID-19患者の中で小児(0-18歳)が占める割合は少なく、そのほとんどは家族内感染である

 各国のデータから小児の感染者は全体の2%前後で、人口比率(20%前後)に比べ明らかに低く、小児はCOVID-19に感染しにくいと考えられている。理由としてACE受容体(COVID-19が細胞に入る鍵穴)の発現率が小児で低い、自然免疫系(ウイルスの種類に関わらず排除しようとする仕組み)が活発、などが推察されている。

・現時点では、学校や保育所におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる

 18人の小児患者が863人と濃厚接触も感染は2人のみ(オーストラリア)

 9歳の患者が有症状のまま112名に接触も感染者なし(ヨーロッパ)

・小児COVID-19症例は無症状~軽症例が多く、死亡例は極めて少ない。

 重症度について:

 米国の報告では、入院例が成人は20%に対し18歳未満は5.7%と低く、ICU入室の割合も成人は2.0%に対し18歳未満は0.58%と低かった。本邦では400名を超える小児感染者が報告されているが、すべて中等症以下。

 死亡例について:

 アジアで遺伝的に日本に近い韓国では、総感染者数10822人の時点で小児感染者数757人、死亡数0。

 日本と同様に医療崩壊の起きなかったドイツでは、感染者数170588人、死亡数7510人(4.4%)の時点で小児感染者数10522人、死亡数3人(0.028%)であった。

・学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい

 小児の感染例が少なく、重症化がまれで、クラスターが殆ど見られていないため。

・教育・保育・療育・医療福祉施設などの閉鎖が子どもの心身を脅かしている

 教育の機会が失われ、抑うつ傾向が助長、家庭内暴力のリスク、こども貧困に対する福祉・こども食堂の活動停止、乳幼児健診・予防接種機会を逃すことによる損失など。

 小児に関してはCOVID-19そのものよりCOVID-19関連健康被害の方が問題。

 感染予防でとくに近距離の会話ではマスクの着用が必要ですが、小児は感染しにくく、重症化はまれです。過度の行動制限はそれによる健康被害の方が問題となっています。基本的な感染対策をした上で、COVID-19以外のことに目を向け、ご家族とこどもたちが日常生活を取り戻していただけることを願っています。